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2016年04月 コンサルタント契約を締結しました  
2015年12月 粗飼料分析(NIRS)を開始しました  
2015年09月 コーンサイレージに関する研修ツアーについて  
2015年03月 シェパード中央家畜診療所 松本大策先生の社内講習会  
2012年10月 (株)丹波屋 酪農セミナー2013 ご案内  
2012年05月 アルバータ州立大学 大場准教授による社内講習会  
2012年03月 乳牛の新しい栄養設計ソフトの紹介(続編)
〜CNCPS Ver6.1トレーニング(NDS・AMTS)と米国 酪農場訪問〜
 
2011年09月 乳牛の新しい栄養計算ソフト「AMTS」の紹介
〜米国 AMTS社 訪問〜
 
2010年07月 ウィスコンシン州Central Sands Dairy LLSの視察について(後編)  
2010年06月 ウィスコンシン州Central Sands Dairy LLSの視察について(前編)  
2010年02月 あなたの農場に、妊娠牛は何頭いますか?  
2009年09月 乳牛の飼料効率を考えよう  
2008年10月 <特別寄稿>繁殖についての取り組み
〜牧場と、若き酪農ミセスの奮闘記〜
 
2008年06月 肉牛育成牛について考える  
2007年09月 カリフォルニア州立大学の研修と視察  
2006年11月 ワールドデーリーエキスポ2006  
2006年05月 乾乳期間について考える  
2006年01月 新しい粗飼料分析について  
2005年06月 米国視察報告  
2005年02月 ユーザ紹介(大樹町 山下牧場)  
2004年10月 繁殖成績について考える Part2  
2004年08月 繁殖成績について考える Part1  
2004年02月 近日、酪農メディアで取り上げられる話題について  
2003年09月 酪農経営データベース(酪農DB)の活用について  
2003年02月 光周期コントロールについて  
2002年07月 ユーザ紹介(中標津町 美馬農場)  
2002年04月 ユーザ紹介(苫小牧市 五十嵐牧場)  
2002年02月 ユーザ紹介(美瑛町 畑中ファーム)  
2002年01月 飼料給餌マネージメントの考え方とその取り組みについて  
2001年11月 代謝プロファイルテストと、周産期疾病について  
2001年09月 乳牛の蹄病とその対策  
2001年08月 暑熱対策について  

 
ワールドデーリーエキスポ2006 2006年11月
2006年パンフレットの表紙より抜粋
今回は、米国、ウイスコンシン州、マディソンで行われた、ワールドデーリーエキスポ2006について報告します。ワールドデーリーエキスポについては、実際に、視察された酪農家も多いと思いますが、一言で説明すると米国で開かれる“国際的な酪農祭り”でしょうか?

1.ワールドデーリーエキスポに参加して感じたこと

cattle show
ワールドデーリーエキスポは、毎年秋にウイスコンシン州、マディソンで開催され、今年は10月3日〜7日に行われました。この“酪農祭り”には、世界各国から参加者があり、日本からも毎年約200人以上の酪農関係者が訪れています。以前から、デーリーエキスポについては知っていましたが、その規模の大きさや、華やかさについて実感することができました。また、酪農産業は、これだけ大きなイベントを開ける“世界共通の産業”であることを認識しました。この連帯感を実感できたことが、今回、もっとも大きな収穫でした。

2.ワールドデーリーエキスポの共進会(Cattle Show)と関連企業のブース

牛と出品者
デーリーエキスポでは、北米の最高の乳牛を決める共進会(Cattle show)が開かれ、その共進会に参加する乳牛をじっくり見ることができます。したがって、この共進会を見ることを目的に(あるいは出品すること)参加する人も多いと思います。私にはこの共進会に参加している牛のすべてが、“芸術品”の乳牛ばかりでした。もちろん、主役は乳牛?でしょうが、その主役を作り上げ、共進会で、より美しく乳牛を見せようとリードする酪農家の技術(苦労)は、すばらしいものです。今回参加したすべての、乳牛、酪農家に対して敬意を示したいと思います。

cattle show に出る牛
また、共進会(Cattle show)会場を中心にデーリーエキスポでは、世界各国から、酪農関連企業のブースが出展されます。ブースは3つの会場に、約650社程度あり、丹波屋で取り扱っている商品はもとより、初めて見る商品や、最新の牛舎施設など、あらゆる分野の商品が数多く出展されています今回はこのブースで北海道の酪農家に役立つような商品がないかを発見することもデーリーエキスポに参加した1つの目的です。約650社程度で3つの会場に別れた企業ブースを詳しく見て回れば、最低2日は必要です。当然、ブースで聞いた商品説明では、興味深い商品ばかりですが、実際の酪農家の評価は分かりません。したがって、実際に酪農家の評価を調査することも必要です。その上で、機会があれば、北海道の酪農家にも紹介してみたいと思います。

出展しているブース各社

リーシュアー
メガラックR
フリーダムストール
アミックスS

3.ワールドデーリーエキスポでお勧めの“バーチャルファームツアー”

バーチャルツアーの説明のパンフレット
デーリーエキスポでは、酪農家が自分の農場について映像(スライド等)を使って紹介するバーチャルファームツアーが、開催中、1日2回、約1時間半行われています。今回は、10月5日、6日の2日間、午後2時の部に参加しました。このバーチャルファームツアーが、デーリーエキスポの中で、もっとも興味深いイベントになりました。10月5日の、バーチャルファームツアーでは、“自分の牛乳を必要としている消費者がいる。そのために品質の良い牛乳を生産すること”を酪農経営の理念とし、“もっと差別化し、消費者に選ばれ、より安定的な収益を上げるために牛乳からチーズ作り”へ変換した牧場の話を聞きました。

 1) 農場の最良のカウコンフォートと衛生環境
 2) 創意工夫により高品質で、他の牧場ではまねできないチーズ作り
 3) 経営者の家族が自ら消費者に販売する姿

など、消費者を意識した、経営者の姿勢は十分理解でき、感銘を受けました。可能であれば、ぜひ次回、カリフォルニアに行き実際に農場を見学し、話を聞いてみたいと思います。

4.今後、ワールドデーリーエキスポを訪れる予定で、ブースやセミナーにも興味ある方へ

サイレージの展示
実は今回、日本に帰ってから、デーリーエキスポのプログラムについて詳細に読んでみるといろいろなイベント(セミナー)あったことを知り、もっとイベントに参加すればよかったと反省しています。たとえば、“サイレージスーパーボールコンテスト”(サイレージの栄養や発酵品質の比較)のブースの脇にステージがあり、種子会社がサイレージの特徴についての説明するためと勝手に思い込んでいましたが、このブースで毎日2回、粗飼料の栄養についてセミナーが開催され、マイケル、ハッチェンス氏やメアリーベス女史、Drギャレットオッツエル氏から栄養学や疾病の講義を受講できたことを後から知りました。もし、来年以降、参加を予定されている方は、下記の点について事前に準備しておくと、より効率的にデーリーエキスポを体験することが可能かと思います。
cattle show
1)まずは、インターネットのホームページで今年のイベント、出展企業を確認し、調査したい   関連企業等をピックアップする。(ヤフー検索するとホームページの内容が日本語に翻訳可能な場合もあります。)
   ホームページのアドレス  WWW.WORLDDAIRYEXPO.COM
2)可能であれば、専門知識があり、英語が堪能な通訳を事前に探す。
    (デーリーエキスポの会場でもそのようなサービスがあるようですが?)
3)セミナー、バーチャルファームツアー、共進会など各イベントの内容と日程を確認し、事前にタイムスケジュールを作り、デーリーエキスポの催し物に効率よく参加する。参加する場合は2名以上で参加し、テープレコーダを持参し、セミナー後に大まかな内容を確認する。もし分からないときは後日、英語の堪能な人にテープを聞いてもらい内容の確認を行う。
4)携帯できる電子辞書を持参する。
5)時差ぼけ予防対策(実際、最初の2日〜3日は夜中に目が覚め、寝不足が続きました)、たとえばメラトニン製剤(睡眠導入薬)を事前に医師と相談の上、入手してから渡米する。
6)これまで、参加経験のある人に事前に相談してアドバイスを受けるなど、いろいろな準備をしておくことで、よりデーリーエキスポを活用できます。

最後に

入場料は期間中何度でも入場可能な入場券がなんと21ドルですから、こんな安価で貴重な酪農情報を習得できる機会は他にありません。来年、参加を予定されている方、あるいは、デーリーエキスポに興味のある方はまずはホームページにアクセスし、2006年のデーリーエキスポの情報を入手することをお勧めします。まず、デーリーエキスポで興味のあるイベントを決め、その前後に農場視察等を組み合わせれば、有意義な“米国視察ツアー”が企画できると思います。
技術部 技術課 内田勇二(獣医師)